皇室の装い

皇室の装い
皇室の装い(上) 受け継がれる「皇后のティアラ」
2019.5.30 09:45
ご即位からまもなく1カ月。
天皇、皇后両陛下は6月9日には、26回目の結婚記念日も迎えられる。
即位をきっかけに皇后さまの華麗な装いにも、改めて注目が集まっている。
5月1日の即位の儀式で着けられたティアラ、
儀式ごとに変わったドレス、古式ゆかしい十二単(じゅうにひとえ)…。
世代を超えて大切に受け継ぐという尊い営みと、
装いに秘められた皇室のトリビアを今日と明日(31日)の2回にわけて紹介する。



華麗に、それでいて上品に。象徴的に皇后さまの威厳と品格をたたえるティアラ(宝冠)。
日本の皇室では、皇位継承とともに、その后(きさき)である皇后や皇太子妃に、
それぞれ伝統的なデザインが受け継がれてきている。

◆起源は130年前に
5月1日、宮中儀式に臨まれた皇后さまの頭上でひと際輝いていたのは、
歴代皇后に受け継がれる複数のティアラの中で、
「皇后の第一ティアラ」などと呼ばれる最も由緒あるティアラとされる。
皇室の歴史とファッションに詳しい大東文化大の青木淳子特任准教授によると、
このティアラの起源は約130年前に遡(さかのぼ)る。
明治19年、西洋化を進めることで近代化を目指す欧化政策の中で、
宮中における女子の正式な服装が洋装と定められた。
そのころ撮影された明治天皇の后、昭憲(しょうけん)皇太后のお写真のティアラと、
皇后さまが1日に身につけられていたティアラは「デザインが酷似している」(青木氏)という。
明治20年2月11日付の「東京日日新聞」は、このティアラについて、
「ドイツ、ベルリンの御用金工師レヲンハードおよびフイーゲルの二氏」に命じ、
「ブリリヤント形の金剛石(ダイヤモンド)六十個」を用いたことを報じた。
ティアラの頂点のダイヤモンドは取り外しができるとの記載もあった。

◆皇太子妃から皇嗣妃
同じ形状のティアラを、大正天皇の后である貞明(ていめい)皇后、昭和天皇の后である香淳(こうじゅん)皇后、
そして現在の上皇后さまが皇后時代に着用されている写真があり、
青木氏は「完全に同じものかどうかは分からないが、伝統のデザインが受け継がれていることは確か。
『皇后』という立場を象徴するティアラを上皇后さまから受け継がれた皇后さまのご心中には、
並々ならぬ決意があったのでは」と話す。
「皇后のティアラ」に対し、今回、秋篠宮妃紀子さまに受け継がれたとされるのが、「皇太子妃のティアラ」。
流麗な唐草のデザインは、上皇后さま、そして皇后さまがご成婚の際に身につけられていたものだ。
秋篠宮さまが皇位継承順1位の「皇嗣(こうし)」となられたことで、その妃である紀子さまに伝わったとみられる。

■女性皇族 成年式で新調 入札、コンペ方式も
歴代皇后に受け継がれるティアラは、天皇の三種の神器などと同様に
宮内庁が認定する「皇位とともに伝わるべき由緒ある物」(由緒物)と位置づけられている。
一方、ほかの女性皇族方が成年式などで身につけられるティアラは、
同庁がほかの宝飾品とともに新調するケースが多い。
かつては特定業者の随意契約だったが、平成15年に三笠宮家の瑶子(ようこ)さまが成年になられるとき、
指名競争入札方式が導入された。
23年の秋篠宮ご夫妻の長女、眞子さまの成年式では「和光」と「ミキモト」が応札し、和光が落札。
デザインはメーカー側の提案をベースに、眞子さまのご希望も取り入れられたという。
妹の佳子さまのときは制作業者を広く公募し、コンペ方式で学識経験者らが審査。ミキモトが受注した。
受注額はいずれも3000万円程度だった。
ティアラは私物ではなく国有財産として供用され、女性皇族方が結婚で皇室を離れるまでお使いになる。
https://www.sankei.com/life/news/190530/lif1905300006-n1.html


皇室の装い(下) 伝統と個性映すドレス
2019.5.31 13:15
「ローブ・デコルテ」に「ローブ・モンタント」。皇室では儀式や行事に合わせて、
女性皇族方の着用されるドレスが変わる。それぞれどんな違いや特徴があるのだろう。

◆ティアラとともに
今月1日のご即位の日。天皇陛下が初めて国民の代表と面会し、
お言葉を述べられた「即位後朝見の儀」には、皇后さまや女性皇族方も参列された。
陛下が燕尾服に国内最高位の勲章「大勲位菊花章頸飾(だいくんいきっかしょうけいしょく)」
などをつけた正装で臨席されたのにあわせ、皇后さまや女性皇族方も、最も格式の高い正装で臨まれた。
こうした場でまとわれるのが、襟元のあいた袖の短いロングドレス「ローブ・デコルテ」だ。
宮内庁によると、ドレスの色は、陛下のホワイトタイに合わせ白か淡色とされ、
ティアラ、勲章、肘まで隠れる白く長い手袋も着用される。
毎年元旦に宮中で開かれる「新年祝賀の儀」や結婚の儀式、成年式などでも着られるが、
最高の格式とされる分、機会は少ない。

◆肌の露出が少なく
一方、陛下がモーニングコートを着用される際に、女性皇族方がお召しになるのが「ローブ・モンタント」だ。
「ローブ・デコルテ」との大きな違いは、長袖で肌の露出が少ないこと。
4月30日の上皇さまの「退位礼正殿の儀」では、上皇さまがモーニングコートで臨まれたため、
上皇后さまと皇后さま、女性皇族方も、首もとまで覆われ袖の長いローブ・モンタントをお召しになった。
新年の「歌会始の儀」や「一般参賀」など着用される機会も多く、
今月4日の一般参賀でも、色とりどりのドレス姿の女性皇族方が皇居・宮殿「長和殿」のベランダに並ばれた。
日中の儀式では、ローブ・モンタントに帽子を合わせられることが多い。
皇室の服装に詳しい大東文化大の青木淳子特任准教授は
「西洋では、正装では帽子を着用するという近代からの習慣があり、それを踏襲していると思われる。
上皇后さまは小さな帽子を好まれたが、皇后さまは頭を覆う形の帽子をよく使われる。
それぞれの個性を大切にされているように感じる」と話している。



■10月の儀式 十二単に注目
10月22日に皇居・宮殿で行われる「即位礼正殿の儀」では、
天皇、皇后両陛下はじめ皇族方が古装束を身につけられる。
外国元首らも招かれ、日本古来の正装が注目を集めそうだ。
天皇陛下のご装束は「黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)」。
天皇だけが身につけることができる装束で、宮中祭祀(さいし)でも着用されるものだ。
皇嗣(こうし)秋篠宮さまは、皇太子の装束といわれる「黄丹袍(おうにのほう)」を身につけられる見通し。
皇后さまや女性皇族方は十二単姿で臨まれる。正式には「五衣(いつつぎぬ)」
「唐衣(からぎぬ)」「裳(も)」などと呼ばれる装束だ。
一番上に羽織るのが唐衣で、皇后さまは白を基調にしたものをお召しになる見通し。
皇嗣妃として臨む秋篠宮妃紀子さまは新調されるが、他の女性皇族方は平成の際の紫色の唐衣を再利用される。
ご年齢により紫の濃淡には違いがあるそうだ。
長袴は既婚と未婚で異なる。秋篠宮ご夫妻の長女、眞子さまをはじめとする未婚の女性皇族方は濃い紫、
妃殿下方は緋色とよばれる赤いものをお召しになる。
https://www.sankei.com/life/news/190531/lif1905310024-n1.html