<代替わり考>退位儀式に天皇家私費 伊勢神宮参拝 陛下の意向を尊重

<代替わり考>退位儀式に天皇家私費 伊勢神宮参拝 陛下の意向を尊重
2019年1月31日 朝刊
天皇陛下が四月に伊勢神宮(三重県)へ退位を事前に報告する儀式について、
政府は天皇家の私費である「内廷費」を充てる方針を決めた。
宮内庁関係者によると「簡素な形で儀式に臨みたい」との陛下の意向も踏まえたという。
新設される十一の退位関連儀式のうち、内廷費の支出が決まったのは初めて。
政府は皇太子さまの即位関連儀式を国費で行う方針を決めているが、
退位関連ではほかの儀式にも内廷費の支出を検討している。

伊勢神宮には皇祖神の天照大神(あまてらすおおみかみ)が祀(まつ)られており、
陛下は四月十八日の「神宮に親謁の儀」で、同月三十日の退位を報告する。
皇位の証しとされる三種の神器のうち、剣と勾玉(まがたま)(璽(じ))も携行する予定だ。
両陛下の神宮参拝は、式年遷宮後の二〇一四年以来五年ぶり。
即位後は、一九九〇年十一月に即位礼や大嘗祭(だいじょうさい)の終了を
親謁の儀で報告して以降、五回目となる。
九〇年の親謁の儀では、国費の宮廷費を使い、陛下は古式の黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)姿、
皇后さまは十二単(じゅうにひとえ)姿で、二頭立て馬車に乗り、
神宮の内宮と外宮の正殿前まで、それぞれ移動した。
今回はモーニングコートを着用し、馬車行列もないシンプルな参拝を想定する。

宮内庁幹部は「退位直前の私的な皇室行事であり、儀式の前例もない。
簡素な形での儀式を望まれた陛下の意向も尊重して判断した」と話す。
内廷費の支出は両陛下の交通費などを予定している。

退位関連の十一儀式のうち、政府が責任を負う国事行為は、
陛下が天皇として最後に国民の代表である首相らと会う四月三十日夕の「退位礼正殿の儀」だけで、
国費が充てられる。このほか皇居内の宮中三殿や伊勢神宮、
神武天皇陵や昭和天皇以前の四代の天皇の山陵に退位を報告する儀式などは宗教色が否めず、
皇室行事である「大礼関係の儀式」として行われる。

政府は皇太子さまの即位関連儀式のうち、二十余りの皇室行事について、
前回を踏襲する形で国費の宮廷費を充てる方針を決めている。
秋篠宮さまは昨年十一月、宗教色の強い大嘗祭について内廷費で行うべきだと発言して波紋を広げた。
 (編集委員・吉原康和)

<内廷費と宮廷費> 宮内庁の皇室費は、内廷費と皇族費、宮廷費の三つに分類される。
内廷費は天皇家、皇太子家の生活費や宮中祭祀(さいし)などの私的費用に充てるもので、
2018年度は3億2400万円。
宮廷費は、外国賓客の接遇、地方訪問など公的な活動の必要経費で、同年度は約92億円。
皇太子さまの即位関連費用では、大嘗祭など総額約38億円が宮廷費から支出される。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201901/CK2019013102000120.html