皇室の財産

皇族の美術品 相続に莫大な税金がかかるため一部を寄付
2017.05.09 07:00
皇居・東御苑にある「三の丸尚蔵館」は、昭和天皇崩御後の1989年6月に
皇室から国庫に寄贈された美術品を研究、展示するため、1993年に開設された。
天皇陛下がすべての財産を相続すると莫大な税金がかかってしまうことから、一部を寄付したのだ。
「現在では、皇室に代々受け継がれた絵画・書・工芸品などの美術品類に加え、
香淳皇后や故秩父宮妃の遺贈品、三笠宮家からの寄贈品など約9800点を収蔵しています」(宮内庁関係者)
宮内庁管理の美術品は、慣例的に国宝や重要文化財に指定されないのだが、
狩野永徳の『唐獅子図屏風』、葛飾北斎の『西瓜図』、
伊藤若冲の『動植綵絵』など歴史的・文化的価値の高い物も数多い。
昨年春に東京都美術館で開催され、約45万人が来場した若冲展にも三の丸尚蔵館所蔵の作品が展示された。
「もともとは研究と保管のみが目的で、一般への公開については博物館や美術館への貸し出しを行う予定でした。
しかし、陛下をはじめとした皇族方の意向もあって館内に展示室が設けられました。
ただ、なにぶん手狭で定期的に展示会を行っても公開できるのはほんの一握りのみ。
外国人観光客を含め来館者が増加していることから、
近いうちに増築が行われる予定です」(前出・宮内庁関係者)
今回の生前退位でも宝物が増えそうだ。入館料は無料。皇室の歴史を感じに足を運ぶのも一興だろう。
撮影/雑誌協会代表取材
※女性セブン2017年5月11・18日号
https://www.news-postseven.com/archives/20170509_536042.html


天皇家の財産 GHQにより大半が消えバブル時は20億円に増加
2017.06.09 11:00
眞子内親王の婚約報道に際し、ご結婚時に1億円を超える一時金が払われることが話題になった。
そんな中、政府や有識者が意見を戦わせてきた「生前退位」をめぐる議論においても、
皇室の財産をめぐる議題が浮上したというのだ。それは「相続税」である。
これはもうひとつの「皇位継承問題」である。
ここで天皇家の財産の歴史について振り返ってみる。戦前、皇室財政は国家財政と分離しており、
全国規模の林業経営などで莫大な収益を上げた。三井、三菱などの大財閥を優に超える資産を形成していた。
終戦直後の1945年11月、GHQ(連合国軍総司令部)は
「天皇は世界有数の財閥であり、ただちに財産税賦課によって適切に処理されるべき」として、
皇室財産の解体に着手した。GHQによる評価の結果、弾き出された昭和天皇の財産は37億1563万円だった。
主な内訳は、皇居や赤坂御用地といった土地(7憶7263万円)、宮内庁舎などの建物(2億3414万円)、
皇室所有の御料林の木材である立木竹(16億3976万円)、美術品(4億4949万円)、
有価証券(2億2012万円)、現金預金(5500万円)などとなっている。
GHQによって評価された天皇家の財産はいきなり大半が消えることとなる。
資産1500万円超の財産所持者には90%もの「財産税」が課されることになり、
昭和天皇は33億4268万円を納めることになったのだ。
さらに新しく制定された憲法では、〈すべて皇室財産は、国に属する〉ことが定められ、
皇室による不動産保有は禁じられた。皇居など天皇家が使い続けるものは国有財産へと移管された。
その結果、昭和天皇の私有財産は、「何か大きな出費に備えるため」という名目で
金融資産1500万円が残されたほか、由緒物の美術品と宝石、身の回りの品だけになってしまったのである。

◆バブルで20億円に
それから40数年後、昭和天皇が崩御した1989年、驚きの事実が明らかになる。
その遺産は約20億円まで増えていたのだ。
皇室経済に詳しい成城大学文芸学部マスコミュニケーション学科教授の森暢平氏が解説する。
「主な要因は株式投資など資産の積極運用です。昭和天皇が自ら運用していたわけではなく、
天皇家には『経済顧問』という私的なアドバイザーがいます。
特に高度経済成長期には大いに資産を増やしたことでしょう。
その背景には、昭和天皇の代替わりの儀式の費用面の懸念がありました。
当時は公費で賄えるかどうか不確定な面があり、
天皇と宮内庁幹部が私有財産から支出しなければならない事態に備えたのです」
結果的に、総額42億円ともいわれる代替わり儀式は国費で行なわれたため、昭和天皇の懸念は杞憂だったといえる。
約20億円の昭和天皇の遺産のうち、葬儀費用の一部と日本赤十字社への寄付5000万円を差し引いた上で
債務を整理し、課税遺産額は18億6911万4000円となった。皇室ジャーナリストの山下晋司氏が言う。
「今上天皇以外のお子さま方は相続を辞退されたため、二分割した9億3455万7000円ずつを、
香淳皇后と今上天皇が相続されました。さらに2500万円ずつを『長寿科学振興財団』に寄付されたため、
実際の相続額は9億955万7000円。今上天皇は約4億2800万円の相続税を納め、差し引いた5億円弱を相続されました」
配偶者控除により相続税が非課税となった香淳皇后は2000年に逝去。
遺産は今上天皇が相続したが、その額は、公示対象(一人あたり2億円以上)を下回ったとして、公示されなかった。
「約9億円もあった香淳皇后の遺産が激減したのは、
バブル崩壊によって所有株が軒並み下落したことが要因だと見られています」(前出・森氏)
今上天皇が香淳皇后から引き継いだ遺産は、相続税を差し引けば多くても1億円以下と見られる。
昭和天皇の遺産5億円と合わせて、多く見積もって計6億円に満たないと考えられる。
※週刊ポスト2017年6月16日号
https://www.news-postseven.com/archives/20170609_561354.html


皇室の財産 皇居の土地は23兆円、国宝級の美術品も多数
2018.09.13 16:00
2019年5月1日、新しい天皇の時代が始まる。
それに伴って、「三種の神器」をはじめ、宮中祭祀に使われる太刀や屏風、
皇后の王冠(ティアラ)といった、皇室経済法で「皇位とともに伝わるべき由緒ある物」(御由緒物)と
定められた品々が、今上天皇から新天皇に引き継がれることになる。
いったい、皇室にはどのくらいの財産があるのか。
真っ先に思い浮かぶのは不動産だろう。東京都心の真ん中にある皇居(約115万平方メートル)、
東宮御所や秋篠宮邸がある赤坂御用地(約51万平方メートル)のほか、
京都御所や3つの御用邸などがあり、その総面積は千代田区の2倍以上にのぼる。
二重橋前駅周辺の最新の公示地価(1平方メートル約2000万円以上)で換算すると、
ざっと見積もっても皇居の土地だけで23兆円。
赤坂御用地も周辺の公示地価で計算すると1兆円は下らない。
だが、実は憲法88条で不動産などは国の管理下に置かれたうえで、
皇室に供される「皇室用財産」と定められている。
そういう意味では、天皇や皇族方は“借家住まい”と言える。
一方、私的な宝物、美術品も受け継がれてきた。
厚い菊のカーテンに覆われたその全貌が明らかになったのは、過去1度しかない。
昭和から平成への代替わりの際、宮内庁は昭和天皇の遺産を整理し、
約4600件にのぼる宝飾品、美術品を保有していたことがわかった。
その中には、狩野永徳、葛飾北斎、円山応挙、伊藤若冲などの絵画、「蒙古襲来絵詞」などの絵巻物、
聖徳太子画像や現存最古の万葉集写本など値段がつけられない国宝級の美術品が数多くあり、
うち約580件は冒頭の「御由緒物」に分類された。
その他約4000件のうち、約3200件が国庫に寄贈され、残りは今上天皇が相続した。
皇室ジャーナリストの神田秀一氏が解説する。
「今上陛下の在位も30年に及び、その間にも献上品や、海外の王室などからの贈り物があったでしょう。
代替わりを機に、財産が新たに国に寄付されることも考えられます」
そうした宝物を除くと、天皇が自由に使える財産の1つが、昭和天皇から相続した現金や有価証券だ。
「当時、課税遺産が約18億6900万円。今上陛下と香淳皇后が約9億円ずつを相続しました。
今上陛下には相続税約4億円が課税され、残されたのは5億円ほど。
その後、香淳皇后が亡くなったときにも相続が発生しましたが、2億円以下だったので額は公表されませんでした。
質素倹約は皇室の昔からの伝統であり、日々の生活は決して華美にならないように心掛けていらっしゃいます。
大きく目減りしたということは考えにくいでしょう」(同前)
※週刊ポスト2018年9月21・28日号
https://www.news-postseven.com/archives/20180913_758920.html