悠仁さま、「静謐な環境」難しく

世相コラム 2019
◇悠仁さま、「静謐な環境」難しく
皇位継承儀式など皇室の大イベントを報じる紙面の片隅に最近、よく見る解説記事がある。
「女性・女系天皇の可否検討の議論が喫緊の課題」という主張の定番原稿だ。
社説として掲載されることもある。女性・女系天皇に反対する保守派ではないが、何か違わないか。

現在の皇室には皇位継承資格のある男性皇族が3人しかいない。
だから、皇位の安定的継承のため今のうちに議論が必要ということなのだろうが、
これほど安定的継承が保証されている時期は歴史上ないのではないか。
南北朝対立の時代に代表されるように天皇家の歴史は、皇位争いの連続だった。
女性天皇が登場したのも、皇位争いの妥協の産物だったケースがほとんど。
今は、20~30年後に秋篠宮さまが「短い在位は問題だから、長男(悠仁)に継がせる」と、
自身の即位を回避するという事態が起きる不確かさは残るが、それも譲ることであって、争いではない。
悠仁さまは現在、12歳。年齢から考えれば、少なくとも60年間はわが皇室は安定的に続くはずだ。
女性・女系天皇を認めるかどうかは、今後60年かけて結論を出せばいいだけのことだ。
それよりも先に心配すべきことがある。悠仁さまが結婚相手を見つける恋愛環境が整うかどうかの問題だ。
SNS(インターネット交流サイト)の時代、悠仁さまの行動はどこにいようが監視の目にさらされる。
恋愛というプライベートな行為に必要な、秘密性の確保は相当難しい。
上皇さまのときは学習院の学友と小泉信三という大物が関与して、
天皇陛下の時には当時の藤森昭一宮内庁長官が官僚人脈で雅子さまの父親を説得して、結婚への道を切り開いた。
上皇さま、陛下と2代続けて最終局面で、「結婚成就のために静謐(せいひつ)な環境が必要」という理由で、
報道協定が結ばれ、報道各社が自粛する場面があった。
しかし、SNSの普及で一般の人がネット上で目撃内容を発信できる。
報道協定を結んでも何の効果もない時代になった。
学習院時代に「キャンパスの恋」を実らせた両親の血を引くから大丈夫
──そう高をくくれるようなメディア状況ではない。(E)
(時事通信社「地方行政」2019年8月19日号より)
https://www.jiji.com/jc/v4?id=2019ssc0031