深夜の饗宴を許した東宮職の「見識」

週刊文春2008年1月17日号
雅子さま三つ星レストランロオジエ深夜の饗宴を許した東宮職の「見識」
その夜、雅子さまが話題の三つ星レストランを出てこられたのは、日付が変わった
零時四十分だった。年末、雅子さまの私的外出が続いた。
それが「治療の一環」だとしても、果たして国民の目にはどう映っただろうか。
皇太子ご夫妻を支える東宮職の「見識」を問う。

皇太子ご夫妻、銀座の「ロオジエ」をお忍びで昨年十二月二十八日、金曜日に訪れた。
この時期はジビエ料理が旬。少なく見積もっても一人五万円以上。
夜八時半にお着きになったご夫妻が店を出られたのは日付が変わった深夜零時四十分頃。
皇太子ご夫妻は同店に四時間以上も滞在された。
お帰りの際、雅子さまはお疲れの様子もなく、乗り込んだ車からお見送りの店員なお手振りをした。
店のラストオーダーは九時。
愛子さまはお留守番。宿直の東宮職員も寝ずにお帰りをお待ちしているわけですから、いかがなものか。
会食の相手はピッピとまりのかかりつけ医である、動物病院の獣医の家族三名と。
会食は獣医側からのお誘いだったという。
2006年12月、恵比寿ガーデンプレイス内「ウェスティンホテル東京」のレストラン
「ビクターズ」に出かけられた頃から、雅子さまはたびたび外食。
昨年夏以降には、
ル・シズィエム・サンス(銀座・フレンチ、8月4日)
ラ・コリナ(六本木・メキシカン、8月12日)
シグネチャー(日本橋・フレンチ、10月第2週)
溜池山王聘珍樓(赤坂・中華、10月13日)
富麗華(麻布・中華、11月4日)
とわかっただけでほぼ月一回のペース。
会食のお相手は小和田家、外務省の元同僚、田園調布雙葉学園同窓生、学習院幼稚園ママ仲間など。
お出かけが続く背景は治療の一環。
そして昨年12月21日には、再び恵比寿ガーデンプレイスをご一家でご訪問。
東宮職の要請で、カメラマンは一般の方にまぎれて目立たないように取材設定。
ところが、テラスからレストランに移動されるはずだったのに
ご一家は階段をおりてシャンデリアに向かって歩きだし、予定外の行動に現場は大混乱。
数十人の警備が周りを取り囲んで移動、人だかりになった。
静かな夜の騒動に不満を洩らす一般客が後を絶たなかった。
その二日後の天皇誕生日のお祝い御膳の後も、皇太子ご一家は皇居から東宮御所までの帰宅ルートを変更し、
六本木ミッドタウンのイルミネーションを車中からご覧になった。
翌24日のクリスマスイブには、雅子さまの妹・池田礼子さんの自宅で、
両親の小和田夫妻らと一緒に晩餐を楽しまれた。
千代田関係者「皇太子ご夫妻がロオジエに行かれた日、御所では恒例の餅つきがあったんです。
例年ならば皇太子子ご一家や秋篠宮ご一家、黒田夫妻もお招きして、それぞれの側近も集まって
大人数の会になるのですが、今年は両陛下とお付きの者だけでこぢんまりと行われた。
陛下が『今年はそのようにする』とお決めになったのですが、なぜそうなさったのかはわかりません。
ただ一昨年の餅つきでは、雅子さまがご体調が悪いのをおして時間に遅れてまで合流されたので、
気を遣われたのかもしれません」
元旦の新年祝賀の儀、雅子さまは両陛下へのご挨拶だけをされ、他の行事は欠席された。
1月2日の一般参賀には、昨年と同様、7回のうち午前中の3回だけ出席されたが、両陛下はもちろん、
年末に左腕の痛みなどで一週間ほどお休みをされていた紀子さまは、7回すべてに参加された。
「…もちろん治療は重要ですが、やはり節度というものがあります。側近がもっと
配慮するべきなんでしょうが、東宮職幹部は『私的外出には何の問題もない』という考え」
(皇室ジャーナリスト)
いま、その東宮職の「見識」こそ問われている。



平成皇室論
橋本明 朝日新聞出版2009年7月

平成19(2007)年も押し迫った12月28日、衆目を集めた皇太子ご夫妻の私的外出があった。
銀座・並木通りの資生堂本社ビルにあるフランス料理店「ロオジエ」での会食だ。
どこからともなく情報が漏れ、記者たちが当日夕方から周囲で待ちかまえていた。
ひと目で私服警官と分かる眼光の鋭い男たちが街の要所要所に立ち、
通りには一台も車がないという物々しさだったという。
ヨーロッパでは、王族はさりげなく街に出向く。
洗練された北欧の国民などは王族と遭遇しても見て見ぬふりをしながら温かく見守り、
お元気でいらっしゃると内心喜ぶという、ほほえましい構図ができている。
しかし独自の収入源や私有財産を持つ諸外国の王族とは違い、
皇族の暮らしは基本的に国民の税金でまかなわれている。
よってその暮らしぶりは比較的質素で、皇族と町民または滞在者が自然に交流できる地域は、
軽井沢町や葉山町あるいは那須などごく少ない地域に限られている。
ヨーロッパ王族のふるまいと比較すれば、よほど注意深くないと国民感情を逆撫でするか、
真意が伝わらずに騒がれるだけ、という結果に終わってしまう。
事実、年明けに発売された「週刊文春」には、
「雅子さま 三ツ星レストラン『深夜の饗宴』を許した東宮職の『見識』」というタイトルの記事が掲載された。
おりしも11月、レストランや町の評価の権威とされるフランスのタイヤ会社編纂の
『ミシュランガイド東京2008』が発売され、三ツ星がついた「ロオジエ」の名は広く国民の知るところとなっていた。
記事は「それが『治療の一環』だとしても果たして国民の目にはどう映っただろう」と問いかけ、
平成19(2007)年以降の頻繁な外食の記録も併せて掲載している。
いずれもミシュランの星がついた一流店や新たに開店した店など、話題の店ばかりだ。
ちなみに「治療の一環」という言葉は「適応障害」という病を患う雅子妃の主治医
「東宮職医師団」が勧める私的外出、乗馬などに冠せられるのが常となっている。
波紋は海外にも広まった。2月に入り「ニューヨーク・タイムズ」
「ヘラルド・トリビューン」といった海外の有力メディアが一斉に、
国内で雅子妃への批判が高まっていることを報じたのだ。
たとえばAP通信は《Royal appetite draws criticism》(皇室の食欲に批難の声)と配信。
雅子妃が十三皿の特製メキシコ料理を楽しんだり、
有名中華料理店でフカヒレスープや北京ダックを食したりしたことから、
皇室の厳粛なイメージを損ない批判を招いている、と報じた。
ところが、私がこの東宮ご夫妻の「ロオジエ」での会食について調べたところ、
前掲の記事で「見識」を問われた東宮職の頂点に立つ野村一成東宮大夫は、
両殿下の銀座外出について「知らされていなかった」ことが判明した。
つまり、記者以上に情報過疎になっているということだ。
羽毛田信吾宮内庁長官も記者会見の席上、この外出は適当でなかった旨の発言をしている。
「ロオジエ」は東宮家の飼い犬の獣医が贔屓にしているレストランで、東宮ご夫妻はそこに招待されたという。
そこまでは結構なことだ。他の皇族も、お忍びの外食の機会をもつことは少なからずある。
だが、三ツ星を獲ったばかりの一流料理店であれば、人目にもつきやすい。そこで通常の営業時間を
大幅に過ぎた深夜までフルコースを楽しんだ。
世間の実情にそぐわないという批判を招きやすい状況でもあったろう。