有識者会議

2016.10.17 23:02更新
【生前退位】
有識者会議が初会合 年明けに論点まとめへ 女性・女系天皇や「女性宮家」は議題に含まず
政府は17日、天皇陛下が意向を示された「生前退位」への対応などを検討する安倍晋三首相の私的諮問機関
「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」の初会合を首相官邸で開いた。
来月から始める専門家からのヒアリングを踏まえ、年明けにも論点をまとめる。
政府は有識者会議の提言を受け、皇室典範の改正も含め、来年の通常国会で必要な法整備を目指す。
首相は17日の初会合でのあいさつで「国家の基本に関わる極めて重要な事柄であり、
予断を持つことなく十分に審議いただき、国民のさまざまな意見を踏まえて
提言を取りまとめていただきたい」と述べた。
有識者会議のメンバーは6人で、初会合で座長に経団連の今井敬名誉会長を選出。
今井氏は専門家に意見聴取する項目として、憲法における天皇の役割や公務の在り方、
高齢となった場合の公務の負担軽減策など8項目を提示した。
また会議後の記者会見で、女性・女系天皇の容認や「女性宮家」創設については
「今回の諮問の中には入っていない。それは改めて、ということになる」と述べ、
議題に含まれないとの認識を示した。
この日の会議では、今後の会議の運営方法などを確認した。自由討議も行われ、
出席者から「何よりもスピード感を持って進めることが重要だ」などといった意見が出たという。
ヒアリングは11月7日から始め、年内に3回行う予定。皇室制度や憲法、歴史などの専門家らを各回、5人程度招く。
会合やヒアリングは非公開だが、1週間後をめどに議事録を官邸ホームページで公表する。
次回会合は今月27日に開催される。
http://www.sankei.com/life/news/161017/lif1610170052-n1.html

2016.10.28 06:50更新
【譲位】
有識者会議に櫻井よしこ氏ら専門家16人選出 ヒアリング対象に
政府は27日、天皇陛下が意向を示された譲位への対応などを検討する安倍晋三首相の私的諮問機関
「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」(座長・今井敬経団連名誉会長)の第2回会合を官邸で開き、
来月から行うヒアリングの対象となる専門家16人を決めた。
石原信雄元官房副長官や京都産業大学の所功名誉教授のほか、ジャーナリストの櫻井よしこ氏らが選ばれた。
会合後、記者会見した今井氏は「さまざまな専門的な知見を有する人々からヒアリングし、
今後の検討の参考とする」と説明。
人選にあたっては、皇室制度や歴史、憲法を中心とした分野の権威、
報道での見解の引用頻度の高さ、譲位に関する見解が明確であることなどを基準とした。
ヒアリングは11月7、14、30日に実施する。
対象者は、天皇がご高齢になられた場合の負担軽減や「摂政」の設置、
譲位が可能になった場合の恒久的制度の是非を含む8項目に関する意見表明の後、会議メンバーとの意見交換を行う。
会議ではこのほか、天皇陛下のご公務の状況に加え、
過去の摂政設置例や退位した天皇の退位理由などについて事務局が説明した。
http://www.sankei.com/life/news/161028/lif1610280011-n1.html

陛下の公的行為の範囲は 有識者会議で意見
11月4日 12時29分
政府は天皇陛下の生前退位などを検討する有識者会議の第2回会合の議事概要を公表し、
宮内庁側から天皇陛下の公的行為が年を追うごとに増加していることが報告されたのに対し、
メンバーからは「公的行為がどこまで必要なのか」などといった意見が提起されたことが明記されています。
それによりますと、先月27日に開かれた第2回会合では宮内庁の担当者が天皇陛下の公務が増えた要因について、
戦後60年、70年などの節目で国内外の激戦地を訪問されたことや
自然災害の被災地へのお見舞いなど公的行為が増加したことなどが挙げられると説明しました。
これに対し、会議のメンバーからは
「宮中祭祀なども含め、全体として天皇陛下の負担軽減を考える必要がある」という指摘のほか、
「公的行為というのが象徴天皇としてどこまで必要なのかもヒアリングで聴いてみたい」
などといった意見が提起されました。
また、「公務の定義が必要だと思うが、それぞれの代の陛下のお考えで異なるとすると一般論での考察は難しい。
特に今上陛下はすべてを完璧にこなすご主義ではないか」という指摘も出されました。
天皇陛下のご活動には、憲法で定められた総理大臣の任命などの「国事行為」のほか、
定めのない象徴としての地位に基づく「公的行為」、
それに宮中祭祀などの「その他の行為」の、大きく3つに分けられます。
一方、皇位とともに伝わる『三種の神器』の相続などに関連し、
「退位の場合と、これまでの慣例どおりにした場合とで、
さまざまな制度の適用がどのように違うのかを整理してほしい」という要望も出されました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161104/k10010755601000.html

専門家ヒアリング 2人が退位に賛成 2人が反対
11月7日 19時19分
天皇陛下の退位などを検討する政府の有識者会議は、専門家からのヒアリングを開始し、
出席した5人の専門家のうち、2人が退位に賛成の考えを示したのに対し、2人が反対を表明しました。
また賛成の2人は、特別法の制定によって退位ができるようにする場合であっても、
皇室典範の改正を前提とすることが望ましいなどという認識を示しました。
天皇陛下の退位などを検討する政府の有識者会議は今月、皇室制度や歴史、
憲法などの専門家合わせて16人からヒアリングを行うことにしていて、
1回目の7日は5人の専門家が招かれました。
この中で、比較文化などが専門の平川祐弘東京大学名誉教授は、
「天皇は続くことと祈ることに意味があり、世襲制の天皇に能力主義的な価値観を持ち込むと
皇室制度の維持が困難になる。退位をしなくても高齢化への対処は可能で、
ご高齢の場合も摂政を置けばいい」と述べました。
日本近現代史が専門の古川隆久日本大学教授は、「公務負担の軽減は国事行為の臨時代行を活用し、
公的行為はほかの皇族が代行すればいい。退位は皇室の安定性を確保するには避けるべきだが、
国民の意思として認めるなら否定しない。退位を認める場合は、皇室典範を改正し、
恒久制度化すべきだ」と述べました。
ノンフィクション作家の保阪正康氏は、「人間的・人道的観点でこの問題を考える必要がある。
特例法で退位を認める場合でも、皇室典範の改正を前提とした法律にしなければならない」と述べたほか、
摂政の設置は、過去の経緯などから反対する考えを示しました。
宗教行政論が専門の大原康男國學院大学名誉教授は、
「公務の負担軽減は、各皇族で分担し、量的な軽減を図り、方式も改めるべきだ。
退位の制度を設けるのではなく、皇室典範を改正して高齢の場合にも
『摂政』を置けるようにすべきだ」と述べました。
皇室制度などに詳しい所功京都産業大学名誉教授は、
「何より陛下のご意向を尊重し、高齢譲位の問題提起を真摯(しんし)に受け止めるべきでで、
ご意向に沿った現実的な法整備のため、特別法を迅速に制定し、
時間的に可能なら皇室典範を改正するのが望ましい」と述べました。
この結果、5人のうち、2人が退位に賛成する考えを示したのに対し、2人が反対の考えを表明したほか、
残る1人は慎重な姿勢を示しながらも容認する姿勢を示しました。
また賛成の2人は、特別法の制定によって退位ができるようにする場合であっても、
皇室典範の改正を前提とすることが望ましいなどという認識を示しました。
有識者会議は、今月14日と30日にも専門家のヒアリングを行うことにしています。

「さまざまな見解があると認識」
座長代理の御厨貴東京大学名誉教授は会合のあとの記者会見で、
「全体として天皇の役割や公務の在り方についてさまざまな見解があると認識した。
天皇陛下のご負担を軽くする方法は、『摂政で対応すべきだ』と主張する人や、退位を主張する人など、
さまざまな意見があると改めて認識した」と述べました。
また御厨代理は「ヒアリングをした専門家は、少なくとも『国民の総意』について、かなりの程度気にかけていた。
『重要視すべきだ』という意見もあれば、『一部の感情論に流されるべきではない』という意見もあった。
国民の総意を肯定するにしても否定するにしても、
国民がどう考えているかを抜きにして論じることができないのは明らかだ」と述べました。
一方、御厨代理は、論点整理を行う時期について、「16人の専門家のヒアリングを終えた時点で、
どの程度の相場観が出てくるかによる。議論が進めば早くなることもあるし、その逆もある」と述べました。

「負担を軽減するなら摂政で」
比較文化などが専門の平川祐弘東京大学名誉教授は、総理大臣官邸で記者団に対し、
「陛下は外に出て、いろいろしてくださり大変ありがたいが、
天皇は世襲制で、体の弱い方なども皇位に就かれることがある。
完璧主義的な理想を掲げられ、ご自分で拡大定義された役割を果たせないから、
それを条件に退位したいというのはおかしい」と指摘しました。
そのうえで、平川氏は「国民としては、お年を取られたら宮中にいらして、
『民安かれ』と祈ってくださればそれでよい。負担を軽減するなら摂政でよいのではないか」と述べ、
退位ができるよう法整備を行うことに反対する考えを示しました。
さらに平川氏は、天皇陛下が生前退位の意向がにじむお気持ちを表されたことについて、
「憲法違反に限りなく近いのではないか」と述べ、
天皇の政治的発言などを禁じた憲法に抵触するおそれがあるという認識を示しました。

「現行制度が最上」
日本近現代史が専門の古川隆久日本大学教授は総理大臣官邸で記者団に対し、
「今の陛下の公務の質と量をこれからの天皇が全員行うのは窮屈になる。
『国事行為の臨時代行』や『摂政』など、今の制度で十分に対応できる。現行制度が最上の制度だ」と述べました。
一方、古川氏は「世論調査や国会の議論を経て、みんなが納得できるところに落ち着くのがいちばんだ。
国民主権にあったプロセスで議論して退位を認めるということになるなら、それは構わない」と述べました。
また、古川氏は、退位を認める場合の法整備の在り方について、
「特別措置法でも前例になることは変わらないし、陛下のご意向を受けて急ぐことは、
憲法に抵触する可能性もあるので皇室典範を改正し、すべての天皇に適用するのが望ましい。
また、退位を認めるのは高齢だけを理由とすべきで、退位した天皇は、公務も含めて何もせず、
『上皇』というより、『前天皇』『元天皇』という形にすべきだ」と述べました。

「皇室典範の改正を前提に特例法で」
ノンフィクション作家の保阪正康氏は総理大臣官邸で記者団に対し、退位を認めるための法整備について、
「会議の中で、皇室典範の改正を前提とした特例法であるべきだという意見を言った」と述べました。
そのうえで、保阪氏は「陛下がああいうお気持ちを表明されたわけだから、
私たちの時代で新しい皇室典範というものを作る、そういう時代だと思う。
その中で例えば、天皇の年齢が80歳を超えた段階で、
天皇と客観的な機関との間で調整するといった方法を条文化することも考えられる」と述べました。
また保阪氏は、退位ではなく、天皇が重い病気の場合などに代役を務める「摂政」で対応することについて、
「摂政は簡単にわれわれがつければいいっていうものではない。
天皇家自身の父と子のいろんな感情が入っているから、それ抜きに論じることはできない」と述べました。

「退位は反対 摂政などで対応を」
宗教行政論が専門の大原康男國學院大学名誉教授は、総理大臣官邸で記者団が
「天皇陛下の退位に反対している今までの立場に変わりはないか」と
質問したのに対し、「変わらない」と述べ、天皇陛下の退位に反対する考えを示しました。
そのうえで大原氏は、記者団が「『摂政』で対応すべきだという考えに変わりはないか」と質問したのに対し、
「基本的に変わらないが、『国事行為の臨時代行に関する法律』で対応すべきだということも考えてきた」と述べ、
退位ではなく、「摂政」や「国事行為の臨時代行」で対応すべきだという認識を示しました。

「退位へまず特別法で対応を」
皇室制度などに詳しく、日本法制文化史が専門の所功京都産業大学名誉教授は総理大臣官邸で記者団に対し、
「会議の中で、1番大事なことは、8月の天皇陛下の意向をどのように実現するかで、
高齢のみを理由とする譲位を、『高齢譲位』という概念で議論してほしいと強調した」と述べました。
そのうえで、所氏は「天皇陛下もまもなく83歳であり、おそらく2年から3年以内に
きちんとした譲位ができることを考えると、もう時間が限られている。
当面できることをまず法的に整備し、それで終わらずにその先も本格的に議論をして、
例えば皇室典範の改正に取り組むといった、ステップをいくつか踏んでいくべきで、
その第1段階が特別法という在り方でよいのではないか」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161107/k10010758951000.html

退位有識者会議 2回目の聴取 6人から意見聞く
11月14日 19時00分
天皇陛下の退位などを検討する政府の有識者会議は14日、2回目となるヒアリングを行い、
招かれた専門家からは、現行法の枠内で摂政を置くことで対応するよう求める意見の一方、
皇室典範を改正して退位ができるようにすべきだという考えが示されました。
天皇陛下の退位などを検討する政府の有識者会議は14日、総理大臣官邸で2回目のヒアリングを行い、
皇室の歴史や制度に詳しい大学教授やジャーナリストら6人から意見を聞きました。

このうち、評論家の渡部昇一・上智大学名誉教授は、ヒアリングの後、記者団に対し、
「宮中で国と国民のためにお祈りくだされば、本質的には、それで十分に天皇の仕事はなさったことになる。
摂政を置くことは何ら不思議ではない」と述べ、退位のための法整備は行わず、
現行法の枠内で摂政を置くことで対応するよう求める考えを示しました。
また、皇室の取材を長年、担当してきたジャーナリストの岩井克己氏は、
「高齢、天皇の意思、皇室会議での承認などを条件に、生前の譲位は容認すべきだ。
そのために、特別法ではなく皇室典範を改正すべきだ。そうでないと、陛下1人のわがままと捉えられかねないし、
皇室典範自体の権威と規範力もそがれてしまうおそれがある」と述べ、
皇室典範を改正して退位ができるようにすべきだという考えを示しました。
有識者会議は、今月30日に予定している3回目のヒアリングで、
憲法など法制度に詳しい大学教授や法曹関係者などから意見を聞くことにしています。

渡部氏「現行法の枠内で摂政を」
評論家の渡部昇一・上智大学名誉教授は、総理大臣官邸で記者団に対し、
「天皇陛下が国民の前でお働きになるのは非常にありがたいが宮中で国と国民のためにお祈りくだされば、
本質的には、それで十分に天皇の仕事はなさったことになる」と述べました。
そのうえで、渡部氏は、「皇室典範にあるので摂政を置くことは何ら不思議ではない。
安倍総理大臣が、『天皇陛下、そこまでお考えになる必要はありませんよ』、
『皇太子殿下が摂政になれば何の心配もないでしょう』と説得なさればいい」と述べ、
退位のための法整備は行わず、現行法の枠内で摂政を置くことで対応すべきだという考えを示しました。

岩井氏「皇室典範改正すべき」
皇室の取材を長年、担当してきたジャーナリストの岩井克己氏は、総理大臣官邸で記者団に対し、
「陛下は、高齢化時代を迎えた今、お2人の継承者の方と話し合いを重ねた末に問題提起をされた。
高齢、天皇の意思、皇室会議での承認などを条件に、生前の譲位は容認すべきだ」と述べました。
そのうえで、岩井氏は、「特別法ではなく、皇室典範を改正すべきだ。
そうでないと、陛下1人のわがままと捉えられかねないし、
皇室典範自体の権威と規範力も削がれてしまうおそれがある」と述べました。
さらに、岩井氏は、「譲位後の天皇は太上天皇、あるいは上皇という名称で、
ほかの皇族方と同じ扱いにすればよいと思う」と述べました。

笠原氏「摂政や負担軽減の検討を」
皇室制度の歴史に詳しい笠原英彦・慶應義塾大学教授は、
「『生前退位』には、強制的退位や恣意的(しいてき)退位が起きないのかなどの懸念がある。
恒久法であろうと特例法であろうと、法的な対応をし、高齢化を理由に退位すると、
前天皇と新天皇のお2人がいる状態となり、
憲法1条の国民統合の象徴としての『統合力』が低下してしまう」と述べました。
そのうえで、笠原氏は、「これまで陛下が行われてきた公務をほかの皇族方に分担していただくのも1つの方法だ。
先に『生前退位』ありきではなく、公務の負担軽減や、摂政の設置、
国事行為の臨時代行について踏み込んだ議論を行うべきだ。
世論の9割が賛成しているからといって、直ちに退位の法整備を行うのは難しいのではないか」と述べました。

櫻井氏 譲位でなく摂政で対応を
ジャーナリストの櫻井よしこ氏は、総理大臣官邸で記者団に対し、
「長い長い日本のこれからのことを考えた時に、やはり『情』を大事にしながらも、
『理』に足を置くべきだという結論に達して、きょうは、譲位ではなく摂政の制度を
そのほかの工夫を加えながら活用するのがよいと言ってきた」と述べました。
そのうえで、櫻井氏は、記者団が、「そのほかの工夫とは何か」と質問したのに対し、
「皇太子様、秋篠宮様たちと最初から国事行為、それからご公務、『祭し』、
こうしたことを優先順位をつけて手分けして分担するようなことが含まれている。
国民全員の知恵をしぼって天皇皇后両陛下の思いに応えながら、
同時に日本国の中心軸である皇室制度の安定性を担保していく時だと思う」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161114/k10010768631000.html

退位 専門家ヒアリング終了 賛成8人 反対5人
11月30日 15時37分
天皇陛下の退位などを検討する政府の有識者会議は30日、
法制度に詳しい大学教授などからヒアリングを行い、3回に分けて行ったヒアリングを終えました。
招かれた16人のうち、退位に8人が賛成、5人が反対を明確に示したほか、
残る3人は条件付きで容認する姿勢を示しながらも、退位できる制度を設けることに慎重な考えを示しました。
天皇陛下の退位などを検討する政府の有識者会議は、
30日に総理大臣官邸で3回目となる専門家からのヒアリングを行い、
憲法など法制度に詳しい大学教授など5人から個別に意見を聞きました。
この中で、百地章国士舘大学大学院客員教授は、「高齢化社会の到来に対応すべく例外的に譲位を認めるべきだ。
皇室典範に根拠規定を置き、それに基づいて特別法を制定し、高齢により公務をみずから行えないときには、
その意思に基づき皇室会議の議を経て譲位を認めるべきだ」と述べました。
大石眞京都大学大学院教授は、「高齢社会を迎えたこんにち、
天皇の終身在位制は公務の遂行とは両立しがたい状況に至っており退位を認めるべきだ。
特例法では憲法の趣旨に合致しないおそれがあり、恒久的な制度に改正すべきだ」と述べ、
皇室典範の改正で退位ができるようにすべきだという考えを示しました。
高橋和之東京大学名誉教授は、「憲法は、象徴的行為が困難となった場合に退位を認めることを想定していないが、
現天皇のみ対象とした特例法を定めることも憲法上は可能だ。
憲法論で言えば天皇の地位を退位すれば象徴ではなくなるので二重性は生じない」と述べ、
退位を容認する考えを示しました。
園部逸夫元最高裁判所判事は、「高齢を理由とした摂政や国事行為の臨時代行の設置は、
長期間にわたる可能性があり権威が低下するおそれがある。
まずは今上天皇の退位を特別法で行い、引き続き皇室典範の改正による
退位制度の導入を検討すべきだ」と述べました。
一方、八木秀次麗澤大学教授は、「高齢でご公務ができない事態には、
国事行為の臨時代行など現行法制で十分対応できる。
自由意思による退位を認めると皇室制度の存立を脅かす。退位を実現すれば、
憲法上のかしが生じ、皇位の正統性に憲法上の疑義を生じさせる」と述べました。
有識者会議は30日の会合で、3回に分けて行ってきた専門家からのヒアリングを終えました。
この結果、招かれた16人のうち、天皇の退位に8人が賛成、5人が反対の考えを明確に示したほか、
残る3人は国民の意志や国会の議決など条件付きで退位を容認する姿勢を示しながらも、
退位できる制度を設けることに慎重な考えを示しました。
また、退位を認める場合の法整備の在り方についても賛否が分かれました。
政府内で有力視されている、いまの天皇陛下に限って退位を認める『特別法』の制定について、
退位に賛成した8人のうち、5人が理解を示す一方、2人は皇室典範を改正して
恒久的な制度とするよう求めたほか、残る1人は特別法で恒久的な制度を設けるよう主張しました。
これに対して、退位に反対や慎重な考えを示した8人のうち、法整備の在り方に言及した6人はいずれも、
「世間の同情に乗じ特例法で対応することは、憲法違反にかなり近い」などと、特別法の制定に反対しました。
有識者会議は、来月7日に開く次回の会合から、論点整理の取りまとめに向けた議論を行うことにしています。
16人の専門家へのヒアリングでは、焦点となっている天皇の退位と退位できるようにする場合の
法整備の在り方以外の項目でも意見は分かれました。
このうち、天皇の役割については退位に賛成する専門家から、
「国家と国民統合のため、可能な限り積極的に『お務め』を果たすことだ」などいう意見が出された一方、
退位に反対する専門家からは、「天皇の仕事の第一は昔から国民のために祈ることだ」などと、
必ずしも公的行為を行う必要はないという指摘が出されました。
天皇の公務の在り方や負担軽減策については、「天皇以外の皇族で分担し、軽減を図るべきだ」という意見の一方、
「工夫により相当な軽減が可能だと考えるが、陛下のご意向を尊重して進めるべきだ」という指摘も出されました。
また、「摂政」の設置や国事行為の委任、それに天皇が退位した場合のご身分については、
退位に反対や慎重な立場の専門家から、「退位した天皇を、過去と同じように『上皇』とすると、
新たな天皇との間で権威が分裂するおそれがある」として、
摂政の設置などの対応を求める意見が相次ぎました。
これに対し、退位に賛成の専門家からは「天皇と摂政の並立でも『象徴の二重性』の弊害があり、
摂政が長引けば皇室の機能不全が深刻化するおそれがある」として、摂政の設置などに反対し、
退位後は天皇に次ぐ位置づけの『上皇』とすべきだという意見が出されました。

「天皇制度を決定的に毀損する懸念ある」
八木秀次麗澤大学教授は、総理大臣官邸で記者団に対し、
「退位の容認は天皇制度を決定的に毀損する懸念があり反対だ。
自由意思による退位の容認は次の世代の即位拒否や短期間での退位を容認することになり
皇室制度の存立を脅かす」と指摘しました。
そのうえで、八木氏は「特例法であろうが、皇室典範の改正であろうが、立法としてかなり無理筋であり、
天皇陛下のご意向を受けて政府が動くことになれば憲法に抵触する。
退位を強行すれば、憲法上問題のある退位となり、次の天皇の即位にも問題が生じる」と述べました。
そして八木氏は「憲法には、国事行為の臨時代行と摂政の制度が明記されており、
もっとも現実的なのが国事行為の臨時代行だ。
要件に『高齢』という部分を入れて少し緩和し、国事行為の臨時代行を運用すれば、
天皇陛下がご高齢である中で、かなりのご負担は軽減できる」と述べました。

「特別措置法で退位容認が望ましい」
百地章国士舘大学大学院客員教授は「超高齢化社会の到来に伴って例外的にご譲位を認めることはあってもいい。
制度としては、皇室典範の中に例外的な譲位を認める旨の規定を置いて、
それを元に特別措置法を作る方法が憲法2条の趣旨にも反しないし望ましい」と述べました。
そのうえで、百地氏は、特別措置法の制定が望ましいとする理由について、
「皇室典範の本則の改正となると、譲位規定を置くにしても
関連するさまざまな諸規定すべてに目を通さなくてはならず時間がかかる」などと述べました。
また百地氏は、天皇陛下が退位された後のご活動について、「象徴の二重性や国民統合の象徴が事実上、
分裂する事態を避ける必要があるので、国事行為はもちろんできないし、公的行為も理論的にはできない」と述べました。

「皇室典範の改正で退位できるように」
大石眞京都大学大学院教授は「高齢社会を迎えた今日、(こんにち)天皇の終身在位制は
広範囲にわたる公務の遂行とは両立しがたい状況に至っており退位を認めるべきである」とする意見書を提出しました。
また意見書には、「退位は、どの天皇にも適用できる恒久的なものに制度改正すべきだ。
特例的な立法措置で対応するという議論もあるが、高齢を理由とする職務不能という事態は
今後も十分に起こりうるから、そのつど特例を設けるのは妥当ではない」などとして、
皇室典範の改正で退位ができるようにすべきだという考えが明記されています。

憲法に反しない退位制度作ること可能だが…
高橋和之東京大学名誉教授は「憲法は退位制度を禁止しておらず、憲法に反しないような制度をつくることは可能だ。
ただ天皇に自分で辞めたい時に辞めるという権限を与えたり、天皇の意向と関係なく、
皇室会議の決定や国会の議決によって退位させたりする制度は、憲法上問題になる」と述べました。
そのうえで、高橋氏は、退位を認める場合の法制度について、
「特例法や恒久法で対応することを憲法は禁止しておらず、どちらにするのかは政策問題だ。
天皇陛下は『退位制度を作って欲しい』と考えておられるようなので、
1度やってみて、その効果をみるというアプローチも可能ではないか」と述べました。
また高橋氏は、天皇陛下のご公務の在り方について、
「憲法上、公務と言えるのは国事行為だけであり、象徴的行為は憲法上の公務ではない」と述べました。

「もっと頑張れ」では人情が薄い
園部逸夫元最高裁判所判事は記者団に対し、「陛下の訴えに対して、知らぬ存ぜぬで、
『もっと頑張れ、摂政をおけ』というのでは、少し人情が薄いのではないか。
『譲位を認める特別措置法をこしらえてはどうか』という話をした」と述べました。
また園部氏は、特別措置法の制定を推す理由について、「皇室典範の改正には相当の時間がかかる。
それは今の天皇陛下のお気持ちに沿わないので、特別措置法で今の天皇に限って、
そういう制度を認めるというのではどうかというのが私の持論だ」と述べました。
さらに園部氏は、退位を認めず摂政で対応すべきという意見があることについて、
「摂政は本来、たまたま病気になられた時に置くものであって、
いつまで続くかわからない長い長い摂政の期間というのはありえない」と述べました。

御厨座長代理「意見集約は可能」
座長代理の御厨貴東京大学名誉教授は、会合のあとの記者会見で
「本当にさまざまな意見があることを改めて実感した。
皇室制度や歴史などの専門家から行った1回目と2回目のヒアリングでは論点が拡大したが、
3回目のきょうは憲法上の観点から論点を掘り下げた印象だ」と述べました。
そのうえで、御厨氏は「次回の会合で初めて16人のヒアリングを総合的に検討する場を設けるので、
ようやく議論すべきスタート地点に立ったという印象だ。
意見を集約できるかどうかは、論点をうまく出していけば、
寄せていくことはかなり可能ではないか」と述べました。
また、御厨氏は「われわれとしては、『賛成と反対が何対何』という受け止め方はしておらず、
何対何というのはわかりやすいが間違えやすい。
とにかく論点が平台に乗ったので、これから議論していきたい」と述べました。

官房長官「議論を見守る」
菅官房長官は午前の記者会見で、「ヒアリングをきょう終えたあと、有識者が議論するので、
政府としてはそのことを見守っていくことが大事だ。
有識者会議の議論が一定の段階に至った時点で、与野党も交えた議論も考えていきたい。
具体的なやり方はまだ何も決まっていないが、
例えば、衆参両院の議長・副議長と相談しながら進めることも1つの考え方だ」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161130/k10010789651000.html


陛下退位
現天皇限りで、制度化は困難 有識者会議一致
毎日新聞2016年12月14日 18時15分(最終更新 12月14日 18時15分)
天皇陛下の退位に関する安倍晋三首相の私的諮問機関
「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」(座長・今井敬経団連名誉会長)は14日、
首相官邸で第7回会合を開いた。退位は容認したうえで、退位の恒久的な制度化は困難との認識で大筋一致した。
来年1月にも公表する論点整理で、今回に限り退位を認める特別立法で対応するとの方向性を示す。
終了後に記者会見した座長代理の御厨貴東京大名誉教授は
退位の恒久制度化が困難との意見が出たことを紹介した上で
「会議全体としてオーソライズされた感触を持っている。
退位の要件化は現状としてはなかなか難しい」と語った。
11月に計3回行った専門家16人のヒアリングでは、
退位賛成の8人のうち、2人が皇室典範改正による恒久制度化を推し、
特別立法を容認したのは6人と見解が分かれた。しかし、この日の有識者会議委員6人による自由討論では、
「制度化した場合、硬直的なものとなり恣意(しい)的、強制的な退位が可能となる。
象徴天皇と政治の在り方をかえって動揺させる」
「時期的に間に合わないからでなく、要件化は困難でかえって混乱を招く」と、制度化に否定的な意見が出された。
また天皇の在り方について、「現代の象徴天皇制を考えるにあたり、
国民との関わりという視点が不可欠」との意見も出た。
退位反対の専門家が主張した「存在することに意義がある」との立場には立たず、
国民と天皇の触れあいを重視するという考えに基づくと、
時代ごとに国民と天皇の関係は変化する。委員から「政治経済状況や国民の意識は変わりうる。
退位はその時代ごとで考えることが望ましい」
「将来にわたって判断できるような要件化は無理がある」との意見も相次いだ。
退位反対の専門家は、明治憲法・典範が制度の安定性のために終身制を定めたことや、
上皇による院政が政治に影響を及ぼしたことなど、歴史的な例を挙げた。
しかし委員からは、明治の終身制は「未来永劫(えいごう)、退位を否定する趣旨でなく、
当時の政治・社会情勢を踏まえての判断だったのではないか」と、柔軟に対応すべきだとの意見が出た。
また上皇の弊害は、「現行憲法下の象徴天皇と結びつけて論じることは
歴史解釈として飛躍がある」との否定的な意見が出た。
次回の会合は1月11日。御厨氏は、次々回以降の1月中に
中間報告として論点整理を公表したいとの意向を示した。【野口武則】
http://mainichi.jp/articles/20161215/k00/00m/010/014000c